ひろげよう人権|東京人権啓発企業連絡会

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矢島 新子 ストレスチェックを受けて、こころのメンテナンスを

プロフィール

ドクターズヘルスケア産業医事務所代表
医師、労働衛生コンサルタント
矢島新子(やじましんこ)

東京医科歯科大学医学部卒業、公衆衛生、メンタルヘルス専門。ロータリー財団奨学生としてパリ大学大学院留学、医療経済学修士。現在まで20社ほどで産業医、メンタルカウンセリングを行っている。

職場ストレスのトップは人間関係

受験、卒業、就職、引っ越しなど環境が変化するとストレスを感じることもあると思いますが、厚生労働省労働者健康状況調査によると、「ストレスを感じることはありますか」という問いに労働者の半数以上は強いストレスを感じている、と答えています。その原因は、職場の人間関係がトップで、次に仕事の質、仕事の量と続きます。

産業医としてさまざまな声を聞く機会がありますが、休職中の社員から「あの上司の下ではもう復職したくない」「仕事のことが頭から離れず夜も眠れなくてつらいからもう仕事を辞めたい」など、心理的側面から身体症状にまで至るストレスを訴える方が多々いらっしゃいます。その要因はやはり人間関係がダントツ1位です。私に会う前にすでに辞めてしまっている方も多いのでは…、と推測すると想像以上に企業にとっての損失が大きいのが実態ではないでしょうか。

結果は会社に知られません
ストレスチェックを受けましょう

さて、2015年12月に労働安全衛生法改正に伴いストレスチェックが義務化されました。身体に関する定期健康診断は労働者に受診の義務がありますが、ストレスチェックの受検義務は労働者にはありません。しかし、自分のストレス度合いを知ること、それを正しく受け止め、専門家に相談することは、日々健康に過ごし、仕事のパフォーマンスを上げるうえでも効果的です。ぜひ、ストレスチェックを受けてください。
ストレスチェックは「メンタルの病気探し」を目的としていません。あくまでも自分のストレスを知るための、いわば「こころのメンテナンス」といえるものです。
また、「会社に自分のメンタル情報を知られたくない」という方もいるでしょう。これも心配ご無用です。
ストレスチェックの結果は会社が知ってはいけないことになっています。もちろん、プライバシーの保護が定められており、受検者が医師面談を希望したときにのみ会社に結果を開示する仕組みになっています。さらに、医師面談の結果に対して、会社は不利益処遇が禁じられています。そのため会社は、この結果を理由に解雇や契約社員の更新拒否、退職勧奨はできないのです。

ストレスについて相談した労働者89.3%は、ストレスが解消されたか気が楽になっている、という結果が出ています。ぜひ、日頃の疲れたこころのセルフメンテナンスとして、また自分のストレスの度合いを知るために、ストレスチェックを積極的に受けてみてはいかがでしょうか。

厚生労働省資料より

2017.6掲載

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